Hello! IVY

前のエントリで完璧だと言った、さくら学院のデビューシングル『夢に向かって / Hello! IVY』に収録の「Hello! IVY」ですが、この曲は雑貨ブランド『モノコムサ』とのコラボ曲です。
モノコムサ*1では『IVY』というラインのアパレルも展開予定のようです。


IVYとは、アイビー・ルックのことで、アイビー・ルックとは、「Hello! IVY」の歌詞にも「トラッド最高」と出てくるように、トラッド(=トラディショナル、伝統的)スタイルの一種です。


僕はこのスタイルが好きです。
なので、誰に需要があるかわからないけど、さくら学院とIVY・トラッドについて語ります。

IVY・トラッドについて

「アイビー」にはニューイングランドのエリート学生が着こなす優等生的なスタイルから、アメリカ的バンカラ風にそれを着崩したスタイルまで幅広い。中でも象徴的なアイテムとして、三つボタンブレザー、ボタンダウン・シャツ、チノ・パンツ、コイン・ローファーなどがある。

アイビー - Wikipedia

機能的でスポーティな感覚のオーソドックスなスタイルで質感にこだわる。広くブリティッシュ・トラディショナルや、さらには同様な感覚をもつ女性のファッションを含めていうこともある。アメリカン、ブリティッシュ両方とも流行に流されず、受け継がれてきた国民的なファッションといえる。服装だけでなく、背景にある特有のライフスタイルを包含して使う。

トラディショナル・スタイル - Wikipedia

ここに記述のあるように、女性のファッションでもトラッドというスタイルは成立しており、「Hello! IVY」の歌詞でも描かれるように、「背景にある特有のライフスタイル」のようなものもさくら学院では取り入れている。

トラッドスタイルより受ける印象について

明確な着こなしのルールが設けられている数少ないファッションであり、いつの時代も着こなしには「シックになりすぎない」という法則が存在している。これは、「基本的に地味でストイックな世界観に派手なものが入ってくると、お互いを引き立てあう」という効果によるもので、トラッドでタータンチェックやペイズリーなど目を引くようなパターンが用意されているのは、このためである。2010年秋冬コレクションにおいて、トラッドでクラシックなアイテムが登場するなど、近年、女性向け衣類にトラッド回帰の動きが見られる。現代女性とトラッド回帰の関係について、前述の栗野は「セクシュアリティの変化」を予感していると語っている。90年代半ばから2004年にトム・フォードが引退するまで、セクシャルなイメージが多かった。その手法に飽き飽きした人々が増えた結果、禁欲的ともいえるトラッドが復活を果たしたと批評した。栗野はトラッドの禁欲的な色使いからは「イージーなセックス感の安売りが終わった」ことが感じられ、トラッドが「男性を意識したファッション(モテ服)からの脱却」を象徴していると述べている。女性の方が活発化している時代だからこそ、今後は女性がトラッドの新しい担い手になっていくだろうと分析している。

トラディショナル・スタイル - Wikipedia

ここに出てくる栗野氏とは、ユナイテッドアローズの共同創立者のひとりで、僕が大好きなショップ「District UNITED ARROWS」のディレクターです。*2
さくら学院を見て、「イージーなセックス感の安売り」が無いというのはなんとなく感じていた印象だった。
モテ服を着ることへのカウンターのようなものを感じる。現在の価値観では、率直に言うと「モテ=セックス感の安売り」、正確には「不特定多数に向けたモテ=セックス感の安売り」と言えるかもしれない。
アニメ『極上!!めちゃモテ委員長』でも、不特定多数に向けたモテではなく、特定の相手に向けたモテを提唱している、という印象を受けている。
こうした女児層への意識改革という意味もさくら学院は持ち合わせていると僕は感じている。
「自分を磨いて」「優しくて」「キラキラ光る」「超カッコいい」女性になりましょうと啓蒙しているのではないだろうか。


ただ同時に、こうも書かれている。

日本でトラッドが定着した理由の1つに、「制服カルチャー」(主に学生服)が挙げられる。エンブレム付きのブレザーやタータンチェックのスカートなどの制服はトラッドテイストといえる。世界的にお洒落な色ではなかったネイビーだが、日本では制服カルチャーのおかげで、人気の色として定着した。トラッドアイテムが制服カルチャーの基調となったことで、アイドルの衣装に多用されるチェック使いなど、欲望の対象となり、オタク文化にも多大な影響を及ぼしている。

トラディショナル・スタイル - Wikipedia

制服が、欲望の対象となっているのは確かだ。
さくら学院にて、これを感じさせない、もしくは非常に希薄に感じるのは、衣装含めたビジュアルの作りこみが丁寧であるところが大きいと考えている。
衣装である制服の、コスプレ感が無いつくりの良さと、各メンバーが着崩すことなくきちんと着ていることから受ける影響は大きいと思う。

さくら学院の制服について

さくら学院の制服は、モノコムサとのコラボによって制作された。
モノコムサ店頭に展示されていたサンプルを見ると、非常によくできていることがわかった。(つくりは別にして)

  • ブレザー・・・紺無地、さくら学院のエンブレム入り金ボタン、フロントボタンは2つ、袖口のボタンは3つずつ、パッチポケット、胸ポケットにはさくら学院の刺繍エンブレム
  • ベスト・・・チルデンベスト、胸にはさくら学院マークのワンポイント刺繍入り
  • シャツ・・・オックスフォード生地の白のボタンダウンシャツ、ボタンにはSAKURA GAKUINの刻印入り
  • スカート・・・おそらくさくら学院のために作られたであろうチェックパターン、キルトタイプのスカート
  • ネクタイ(中等部)&リボン(小等部)・・・さくら学院のエンブレムが入ったロイヤルクレスト(紋章柄+ストライプ)柄
  • ソックス・・・さくら学院マークのワンポイント刺繍が入った紺ソックス
  • ちなみにローファーは黒、HARUTAのもの


僕が自分で着たいくらいです。スカートではなくパンツ希望ですが。


個人的にこだわりを感じるのは、スカートとシャツとネクタイ&リボン。
キルトタイプのスカートって制服だと珍しい気がするし、おそらくオリジナルのチェックパターンだし、
シャツがオックスフォードのボタンダウンで、これIVY的には意外と大事なポイントだし、
ロイヤルクレスト柄のネクタイ&リボンは、生地から起こす必要あるだろうし。


ここまでのこだわりをもって制作された制服を衣装にしているアイドル、僕はさくら学院以外知りません。
そういったこだわりがさくら学院のブランドイメージ形成に一役買っているのではないでしょうか。

*1:ファイブフォックス社と言った方が正確かも

*2:ちなみに和光大学出身